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五苓散が頭痛に効かないときは自律神経の鍼灸
公開日:2022年10月21日 更新日:2023年10月30日
目次
五苓散を飲んでも頭痛が治らないという方が増えています
現在、当院では五苓散を飲んでも頭痛が治らないとお悩みの方が増えています。
その中でも「気象病はツムラの漢方の五苓散と聞いて飲み始めているが効かない」という声をよく耳にします。
最近ではツムラだけでなくコタローといった保険適用の漢方が国内で急速に普及が進んでおり、内科だけでなく耳鼻科や心療内科などでも漢方薬が出されています。
その中で五苓散は気象病をはじめとする天候痛や気候病といった気温や気圧の変動による不調に対して主に処方されています。
しかし五苓散は「頭痛やめまいがある」というだけでは効果は期待できません。
今回は「五苓散が頭痛に効かないときは自律神経の鍼灸」と題して、東洋医学に基づく五苓散の処方の仕方や気象病(自律神経の頭痛)の体質別のおすすめの漢方などを紹介します。
五苓散が頭痛に効かない理由に2種類の気象病がある
“気象病”という言葉が一般的になってきました。
気象病とは「天候や気圧の変化によって自律神経に変調を及ぼし頭痛や吐き気が出現する」症状になります。
西洋医学では気象病が起こる原因を自律神経の失調として一括りに考えますが、東洋医学ではこの気象病にも2種類あり個々の病態によって治療方法が変わってきます。
東洋医学ではこの自律神経に関わる気象病は外部環境の影響による“風湿ふうしつ”と内部環境による“痰濁たんだく”に分けられます。
同じ頭痛であっても病態(体質)が風湿と痰濁とでは違うため五苓散(ツムラ17)の効果が出ないケースがあります。※1
湿気を含んだ風が頭痛を起こす“風湿ふうしつ”について
東洋医学では風湿は湿気を多く含む風のことをさします。この風が湿と合わさり環境に身体が晒されると身体に風湿がまとわりつき不調が生じます。
ジメジメとした夏や密室で空気の通りが悪いところなどはこの風湿が起きやすいといえるでしょう。
そのためもともと身体の水分代謝が悪く湿気が溜まりやすい体質だと風湿に身体を晒してしまうと頭痛が起こると東洋医学では考えます。
この風湿による頭痛は五苓散の効果が期待できないものになります。
胃腸の低下が頭痛の原因、“痰濁たんだく”について
痰濁は胃腸の消化吸収能力が低下し消化物が運ばれずに体内で未消化物として停滞すると発生します。
痰濁はもともと水分を多く含んだ湿気であるためこの湿気によって身体の内側から不調が起こして頭痛を発生させます。
胃腸が弱い人、下痢をしやすい人、冷え性の人などがこの痰濁になりやすい傾向にあります。
どんなに食べても身体の栄養にならずに排泄されてしまうため、まずは消化機能を高めることが大切です。
また五苓散の効果が期待できる気象病はこの痰濁による頭痛になります。
五苓散の効果が期待できない風湿頭痛の見分け方
では五苓散が効かない風湿による不調(全身症状)を解説します。
以下の症状が当てはまる場合は五苓散が効かない可能性があります。
- 頭痛・頭重感(湿気によって頭が包み込まれたような感じがする)
- 四肢が重だるい、食欲不振がある(湿気によって消化吸収が低下する)
- 胸部の不快感がある(湿気の停滞により気の巡りが悪くなっている)
- 小便が少ない、軟便(消化吸収が低下し、水分代謝が悪化している)
- 舌の苔がべっとりと白い(身体に湿気が溜まっている)
風湿による不調は外部環境の影響によって出現します、頭痛を含めた不調を和らげるためには風通しを良くし空間の湿気を取り除くのが重要になります。
「天気がよくなると頭痛が完治する」というのはこの風湿による影響がなくなったからといえるでしょう。
五苓散の効果が期待できる痰濁頭痛の見分け方
では五苓散が効果がある“痰濁”の不調(全身症状)の特徴について解説します。
以下の症状が当てはまる場合は五苓散が効く可能性があります。
・頭痛(頭痛はしつこく長引くことがある)
・めまい(頭痛と併せて症状がでることが多い)
・胸部の不快感がある(水分を含んだ湿気が停滞することで起こる)
・悪心・嘔吐(胃に停滞した消化物が逆流してこみあげてくる)
・舌の苔がべっとりと白い(身体に湿気が溜まっている)
以上が痰濁による主な全身症状になります。
痰濁は内部環境(体質)によるものですので、体質改善が必要になります。
身体に溜まった湿気を排泄できるように代謝を上げるのが優先的な治療になります。
「天気の良し悪しに関わらず頭痛が長引きやすい」というのはこの痰濁が身体の内側によって影響を与えていることに由来します。
この症状の体質にはツムラ17五苓散は効果が期待できます。
じつは五苓散は弱いめまいを治すのが本来の効能
気象病や片頭痛でクリニックよく処方される「ツムラ17五苓散」ですが、本来は痰濁によるめまい症状を改善する漢方薬になります。
さらに厳密にいうと弱いめまい症状のときに有効であり、不調が進行してきて重いめまい症状になったら効果が期待できません。
重い頭痛やめまい症状の場合は五苓散ではなく下記に記した半夏白朮天麻湯(はんげびゃくぶつてんまとう)が有効です。
見分けるポイントに「めまい症状+舌の苔がべっとりと白い」がある場合は半夏白朮天麻湯が有効です。※1
正しい気象病に効く漢方薬は2種類
風湿と痰濁の違いを解説しました。では、それぞれの気象病の頭痛に効く漢方薬を解説します。
・風湿の頭痛に効果あり
【漢方名】勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)
→身体の冷えと内側に溜まった湿気を除く効果があります。
湿気の停滞と気の停滞による四肢のだるさや食欲不振も改善します。
また頭痛以外にも悪心、嘔吐、下痢にも効果があり胃腸型の風邪症状にも効果が期待できます。
こちらの漢方は保険適用外になります。
・痰濁の頭痛に効果あり 【漢方名】半夏白朮天麻湯(はんげびゃくぶつてんまとう)
→痰濁による頭痛とめまい症状の専門薬になります。
身体に溜まった湿気を取り除き胃腸の機能を回復させる効果が中心となります。
めまい症状のみでも効果が期待できる方剤です。
こちらの漢方は保険適用(ツムラ37)なります。
【治療例&効果の高いツボ 】頭痛薬や五苓散を飲んでも頭痛が治らない(20代女性)
【治療の体験者&改善方法 】
20代女性で「頭痛薬や五苓散を飲んでも頭痛が治らないのでなんとかしてほしい」との訴えでご来院されました。
当院にご来院される前に頭痛外来に1年ほど通院しており、頭痛薬、片頭痛予防薬、漢方などを処方されて飲んでいるものの頭痛の改善がないとのことでした。
当院では改めて西洋医学と東洋医学、両方の観点から身体の状態をお調べました。
状態は頭痛以外にも自律神経の不調に関わる不眠や腹部膨満感、便秘などが併発しており、首や肩周りの筋肉も緊張していました。
そのため頭だけに限らず身体全体で交感神経の興奮が不調を及ぼしていると考え、自律神経の興奮を鎮めて全体のバランスを安定させる鍼灸で改善を促しました。
【主に利用したツボ】
・四瀆(しとく)・・・中指に沿って肘のシワを結んだライン上にあります。 肘頭から親指5本分中指に進んだ部分。
当院が考える自律神経の頭痛を治す鍼灸治療
自律神経の頭痛は東洋医学では大まかに風湿と痰濁の2種類に体質を分類することができます。
当院でもこの考えを取り入れて風湿か痰濁かによって治療で用いるツボを変えています。
また鍼灸治療をする前にしっかりと東洋医学に基づき患者様の体質や身体の状態を問診や検査によって隈なくお調べします。
それにより的確な東洋医学のツボを選定することができ鍼灸治療を最大限に引き出すことができます。
五苓散が効かない頭痛や気象病は当院の鍼灸治療で改善できます
現在、当院では五苓散を飲んでも頭痛が治らないとお悩みの方が増えています。
気象病には2種類あることを解説しましたが、どちらの気象病(自律神経の頭痛)であっても当院の東洋医学の鍼灸治療は効果的です。
原因である湿気や痰濁を取り除き頭痛を軽減、完治させる効果が鍼灸治療にはあります。
ぜひ、気象病でお悩みの方は当院の東洋医学の鍼灸治療を受けてみてはいかがでしょうか。
関連する記事 更年期めまいは低気圧で悪化する めまいがスッキリ完治する新しい対処法 子供の頭痛でカロナールが効かないときは鍼灸 薬を飲んでも頭痛が治らない原因と治し方 [参考] ※1 ツムラ漢方五苓散料エキス顆粒/ ツムラ https://www.tsumura.co.jp/products/ippan/019/index.html ※2 半夏白朮天麻湯/ ツムラ https://www.tsumura.co.jp/kampo/list/detail/037.html ※3 天気頭痛~五苓散&半夏白朮天麻湯 / 玄和堂診療所 https://www.genwado.jp/blog/2020/10/23/2450/
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鍼灸院コモラボ院長
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【国家資格・所属】
鍼灸あんまマッサージ指圧師、柔道整復師、心理カウンセラー、メンタルトレーナー 治療家歴14年、日本東方医学会会員、脈診臨床研究会会員
神奈川県の鍼灸整骨院にて13年勤務(院長職を務める)
現在、JR三鷹駅北口に自律神経専門の鍼灸院コモラボにて様々な不調の患者様に鍼灸治療を行っている。